里山千年構想! 美濃加茂市のすばらしい地域活性化策!!

昨日、9月30日、岐阜県美濃加茂市で開催された「里山steamフォーラム「minokamo2030」に参加してきました。これは稚内でお会いした、三宅創太さんから情報提供いただいたものです。三宅さんは数々の地方創生のプロジェクトに関与しておられ、猿払村でも仕事をされているそうで、あの地の自然/風景にノックアウトされてしまったという「同志」ということでもあります(笑)

 

 

美濃加茂市は「里山千年構想」を掲げ、里山の再生を通じた地域活性化を目指しているとのことで、まずは、第一部として現地視察から開始しました。

まずは「企業林」を銘打って、企業に費用を支払ってもらい、その林の再生活動の原資とするとともに、その企業の社員が、実際に森に訪れて自然を親しむことができるとの制度があるという説明がありました。これはなるほど!と思いました。楽天もかつて出資し、現在はトヨタも出資しているとのこと。企業の従業員福祉ということでも、実にいいと思います。

 

 

次に、イノシシ等の野生動物を減らすためには、竹の伐採が必要とのことですが、その竹の処分が大変とのこと。このため、竹をチップにして、田畑のあぜ道に吹き付けることで、あぜ道の雑草駆除の手間の削減を図るという実証実験を展開中とのことです。

竹チップを吹き付けた箇所
竹チップを吹き付けた箇所

あぜ道の雑草駆除が農家にとっての負担となっており、耕作放棄や耕作面積の減少につながっているとのことで、単なる廃材処分ではなく、それを農業の効率化に役立てようとする取り組みには感銘を受けました。これは林業と農業が分離されていたことを、地域という軸でつなげようとする試みとも言えます。

 

通常のあぜ道、このように草が茂ってしまう。
通常のあぜ道、このように草が茂ってしまう。

なお、美濃加茂ではイノシシによる被害が大きいとのことで、これは当然に稚内等でのシカの被害を連想させますが、このような形でのうまい解決策はないのだろうか……と考えてします(ただし私にアイデアはありません……)

次に素晴らしかったのが、アベマキという木を使って、地元の小学生がそれを用いて、1年生のために机を作るという取り組みです。実際の机を見ましたが、直に木と触れ合える素晴らしいもので、また6年生まで使うので、愛着が出るとのこと。私も木の家具が大好きですが、小学生時代、こんな机で勉強したかった……

 

 

私の世代は団塊ジュニア世代で、とにかく数が多いので、一律規格化による大量供給が重視された世代ですが、今のように子供の数も減ってくると、こうした「規格化から個別化」ということも可能になっているのかもしれません。集団主義・全体主義から個の尊重、ということで、望ましい流れかと言えます。

そして、山の中の空き家と山林を買い取ったというところへ。この家からの窓からの眺めがこのような感じで、稚内の拙宅からの風景を想起させます。何かとストレスの多い名古屋生活ですが、こうした山の中にも別宅を借りようか……という気にもなります。また、「個人林」を貸していただき、キャンプをしてもいいかと……

 

 

その古民家で、ここに集結した人々の名刺交換会が発生しましたが、皆さん、「里山」と何かを掛け算しようとされている方々のようです。私は地域おこし、といったところですが、先ほどのこととも関係しますが、移住や二地域居住ということを考えてしまいます。美濃加茂だと十分に名古屋からも近いので、週末用の家や森というのは、稚内と比較して、はるかに容易かと思われます。山の中の古民家、欲しいな~

第二部は2名の方の講演+ディスカッションで、三浦雅之さんの講演は興味深いものでした。特に、古典的な自己紹介から、この写真にあるような「個人化」された自己紹介をされていました。これぞエクスマ的!というところでしょうか。また座右の銘の「啐啄同時」ということで、これは以前、まなみんのブログに出てきたと思います。

 

(ちなみに私の座右の銘は今のところ「Wealth is created, not distributed」(富は創り出されるものであって、分配されるものではない)です。)

 

さて三浦さんの中で、土地と結びついた概念として「七つの風」というものを出されました。それは、以下のものです。

 

①風土

②風味(得られる食料)

③風景(人間の手が入った)

④風習(祭り)

⑤風物

⑥風俗

⑦風情(価値観、気持ち、気質)

 

 

 

これをみると、私は稚内/きた北海道の、これらすべてが好きなんだな~と実感しました。お祭りというと、下勇知の神社のお祭り、新年会にも参加し楽しかったし(風習)、食べ物も美味しすぎるし(風味)、涼しさも大好き(風土)、厳しい自然に立ち向かい、同時に自然と共生して開拓をしてきたという気概・フロンティアスピリット(風情)も大好きです。土地に対する「好き」をこのように分解するという視点は非常に参考になります。

それにしても美濃加茂市が市を挙げて「里山千年構想」を進めていることは実に素晴らしいと思いました。我が稚内・きた北海道も、こうしたコンセプト作りが必要ではと思います。町や地域としての存在価値というか、アピールポイントといったところでしょうか。偉そうなことを言っていますが、それをすぐに出せ、といわれても出てこないのですが、素晴らしきわが地域には、おそらくは端的にそれを表現することは可能かと考えさせられるところ、今後、自分自身の居住やキックスタート事業の中で、考えていきたいと思います。

 

ちなみに、ANAも社内で議論を深め「あんしん、あったか、 あかるく元気!」を編み出したようです。これをきた北海道的に翻訳すると「すずしい、(人とのつながりが)あったか、広大自然!」といったところでしょうか?

 

 

(補足)今回は三宅さんにお誘いいただいたわけですが、2019年に入って恐るべきほどに、さまざまな方々とのご縁が拡大しております。キックスタートもその文脈の中にあります。これもすべて稚内が原点ですが、稚内つながりが、名古屋から近い美濃加茂へと「逆輸入」されたのは、何とも不思議かつ面白いものでした。