【2019参院選挙】世界に広がる(?)戦略的シングルイッシュー政治:「NHKから国民を守る党」の手法

7月21日に投開票の今回の参院選挙、さして興味がなかったのですが、反NHK活動家(?)の立花孝志が立ち上げた「NHKから国民を守る党」(以下「N国党)がおもしろいです。

「NHKをぶっ壊す」と呪文の如く何回も繰り返しており、鮮烈な印象を与えます。「公約はこれのみ」という、実にシングルイッシュー(単一争点)政党です。

 

この手法、イギリスのNigel Farageに通じるところがあります。UK Independence Party (UKIP)を立ち上げ、唯一の公約はBrexitの国民投票実施で、実際に実施され離脱派が勝利した際には、党首を辞任。

 

しかし、離脱交渉が一向に進展しないことを受けて、Brexit Partyを立ち上げ、今年の欧州議会選挙で、相当の得票を得ました。なんと保守党、労働党といった二大政党よりも多い、トップの約3割です!

 

その得票=民意の証明ということで、離脱交渉をまとめることができなかったメイ首相は辞任予定で、もともと強硬な離脱派であったBoris Johnsonが首相就任予定で、「外野から」自らの公約を実現していくという、なかなかの手法です。

 

国民のほぼ全員が関係があるNHKであり、かつそれのみをシングルイッシューにした手法は、マーケティング的にもなかなかに興味深いものであります。

 

実際の選挙では、せいぜい立花氏が比例で当選すれば御の字ですが、比例票、選挙区票でもかなりの得票があれば、主要政党も「民意」の存在を意識せざるを得ず、逆に「NHKをぶっ壊す」で票が取れるのであれば、受信料強制支払制度の解体へと進んでいく可能性もあるのかもしれません。

 

この点、あえてSingle Issueを前面に押し出し、「外野から」結果として公約を実現していくという手法は、主要先進国で新たな政治手法として登場してきたのかもしれません。

 

この背景として間違いなくネットの普及によるところが大きく、マスコミ等のフィルターを通さず、Youtubeなどの存在によって、極めて簡単に直接有権者に遡及できる状況です。実際に上記の動画の再生回数は、7月9日の公開から本日15日までのわずか7日間で、約205万回となっています。

 

SNSを通じて直接有権者に訴えかけるというのは、以前からトランプ大統領がツイッターで発信することにも如実に示されており、マスコミという既得権に対する挑戦ともいえるでしょう。(新聞記事で「トランプ大統領のツイッターによると……」という記事があり、笑ってしまう!)

 

その意味では今回のN国党も、NHKに代表される既得権を保持しようと汲々とする旧来メディア・対・一般国民といった、単にNHK問題を超越した大きな構図の中に位置づけられるのかもしれません。

 

実はキックスタート!の立ち上げでも、既得権を保護するためだけの不当な規制に悩まされたこともありました。この詳細については他日を期したいと思いますが、ライドシェアも含めて、「地方で新たな発想で何かしたい」という時の、単に既存業界を守るためだけの不当な規制が多すぎます。

 

「地方創生」という際に、国は訳の分からぬ補助金をばらまくのではなく、不当規制の撤廃に注力していただきたいものです(まぁ、とはいっても、そうした業界から献金を受けた政治家がいるので難しいのでしょうが……)

 

ということで、N国党がどの程度得票を得ることができるのか、大変楽しみであります。