稚内動画紹介④ これはもっともキツかった! 勇知駅の一日

この「勇知駅の一日」という動画の撮影は、もっともキツかった!といえます。動画の構成は、かなり単純で、稚内の拙宅の最寄り駅である、宗谷本線の勇知駅を停車または通過する、ある日のすべての列車を撮影してしまおう! というかなり単純なものです。本数の少ない宗谷北線ですので、すべての列車と言っても13列車しかありません。

 

ではなぜこれをやろうかということになったかというと、あまり何も考えておらず、何かの動画で「〇〇さんの一日」というものがあり、また宗谷線の動画を撮りたいと思っていたこともあり、じゃぁ最寄り駅の列車を全部撮ろう!ということになりました。

鉄道関係の動画はYoutubeでも星の数ほどあるのですが、宗谷線ではとりわけ「前面展望」動画、すなわち、運転席のすぐ後ろにカメラを置いて、ほとんど編集せずに、延々撮り続け/再生するというものが多いです。ですが、今回のように特定の駅に一日張り付くためには、別途拠点が必要(車や宿舎)であることからも、他にも例が見られなかった点も重要でした。パタリロの歌ではないですが「誰も考えつかないこ~とを す~るのが~だいすき~」の私としては血が騒ぎます(笑)

 

そして、2018年3月の稚内滞在中、天気予報を見て、最もいい日を選び、撮影実行となりました。

 

時刻表から、勇知駅の一日の各列車の停車/通過時刻を割り出し、単にそれを順番に撮影していくだけなのですが、これが大変でした。まず始発から最終の通過まで、午前5時44分から午後11時30分まで、実に約18時間ありました。

もちろん、本数が少ないので、最長では3時間ほど空いている時間もあり、その間、温泉にも行きました。また1時間以上ある場合も、自宅に帰りました。しかし、うっかり自宅で寝てしまって、一本でも見逃せば、最初からまたやり直し、という緊張感に最後まで囚われたことが、もっともつらかったといえます。特に、勇知駅までは自宅から車で通っていたため、23時30分ごろの特急通過まで、一滴たりともお酒が飲めなかったことも、辛かった要因の一つです。

 

元来関西人の私は、列車を待つ車の中で「誰が考えたんや、こんな企画! 自分やろ!!」という下らないボケとツッコミをやっていました。

 

無事最終の特急の通過まで撮影したうえで、村木築磨さんの編集に出したところ、これは何と!何と!! 実に素晴らしい編集がなされたのです! 特にBGMの選択が絶妙です! 最初の頃は明るい朝に合うさわやかな音楽、最後は哀愁あふれる音楽……これは天才的ともいえます! 特に最後に特急サロベツ3号が通過するシーンは感動的です! 辛かったけど、やってよかった!! と思った瞬間でした。

 

「単独維持困難」とされてしまった宗谷北線ですが、勇知駅の一日をこのように切り取ると、実際の乗降客も2名いましたし、間隔は長いとはいえ、早朝から深夜まで列車が走っているのです。そしてそこには、何かの理由があって乗っている乗客、そして列車を運行している乗員が、少ないかもしれないけど、存在しているのです。

 

かつて私自身は「単に乗るために乗っていただけの客」(いわゆる「乗り鉄」)だったのですが、この宗谷北線、とりわけ音威子府以北の素晴らしい風景に魅了されて、現在に至りました。18きっぷシーズンには多くの乗り鉄の方々が乗られます。その中から将来の移住者がいるかも? と考えると、やはり何としても維持しなければならないという気になります。微力ながら、今後とも宗谷北線のすばらしさを伝えていければ、と思います。