私の資産運用歴 JAL株、金地金、不動産、そしてご縁

「将来に対する漠然とした不安」に囚われていた時期、私自身も、いわゆる「資産運用」をしていた時期がありました。より具体的には手元現金を如何に増やすか、ということに注力するということです。

 

もっとも手っ取り早いのが株で、まぁいろいろと手を出しました。それと同時に株主優待も魅力的で、航空会社(ANAとJAL)は、株主優待券がもらえるというので、それなりの額を買っていました。

 

こうした中、痛恨の経験だったのが、JALの経営破綻に伴う、JAL株の「紙屑化」でした。約100万円ほど失ったのですが、これはこれで授業料(相当高かったのですが)になりました。

 

学んだこととしては、①損切の難しさ、です。半分の約50万円になった際手放しておけば、50万は戻ってきたのですが、まぁこれが難しい。「JALだからそのうち復活するさ」とタカをくくっていたら、この始末でした。

 

この「損切り」は株に限ったことではなく、新規事業に手を出すも業績が上げられない場合、さっさと撤退したほうが傷口が小さい、ということにもつながります。別の言い方をすると「撤退の重要性」を学んだということでしょうか。

 

次に②ペーパー資産の危うさ、ということです。国家が発行する貨幣についても、株にしてもそうですが、要は「発行主体の信用」によってのみ価値が成立しているということです。いきなりはあり得ないと思いますが、日本国政府が破綻すれば、その政府が発行する日本円も無価値となります。

 

JALの場合がまさにそうで、発行主体が破綻したので、株も消え去ったという、至極単純なことです。

そこで株などのペーパー資産が信じられなくなった私が向かったのは「金地金」でした。金は発行主体がなく、モノ(コモディティ)として存在しています。よってモノそのものの価値がありますので、価値が消え去ることはありません。金の専門家の本を読み、「誰の債務でもない金」という記載があり、「そうか!!!」と感嘆しました。

 

コンパクトでありながら、日本円換算した時の価値は大きく、しかも、世界のどこにもっていっても、換金できる可能性がある、ということには大いに安心させられました。日本でもハイパーインフレの可能性も排除できず、それこそ某国が侵略してくるかもしれず、その際は「金を持って逃げればいい」と考えていました。まぁここには世の中に対する信頼の欠如があったのでしょう。

 

中国やインドでは、金の装飾品需要が高いのですが、これは歴史的に戦乱を繰り返していた国ですので、貨幣への信頼がなく、有事の際に持って逃げることができ、かつ換金できる金に重い価値を置いているからだとされています。

 

金地金自体の保有は、少し前まで続きましたが、今は全部売却しました。というのも、キックスタートの立ち上げ費用(土地建物購入と改修)に充てるためです。面白いことに、金地金の売却分相当が、ほぼキックスタートの費用だったのです。すなわち、金地金というモノ、が別の不動産というモノに変わったのでした!(別に意図していたわけではないのですが)

 

確かに実物資産はいろいろな意味で価値が大きいように感じています。仮に名古屋で解雇されても、大地震があっても、「稚内に逃げるか、とりあえず住むところはあるし、自分の所有物だし」という気持ちになれます。

 

 

しかし、不動産たるキックスタートが単にモノとしての価値ではない、それ以上のはるかに大きい価値を生み出していることに気づき始めました。具体的には、「これがなければ得られない、人とのご縁を得られている」ということです。

 

例えば、取材に来てもらった地元紙の記者と知り合いになる、地元金融機関の担当者の方が興味を持ってきてもらった、地元の方に「シェアハウスをやっている」と一目置かれる、セミナー会場として使ってもらえる(そのためにわざわざ来てもらえる)、実際に町内会の会合に使っていただいた、などなどです。

 

不動産というのは、人が住んでこその価値ですが、キックスタートの場合はセミナールームがあるため、宿泊以外のご利用もいただいております。その根幹は「人が集う」ということにあると思います。

 

そこで私自身考えたのが、「資産」の本質です。ペーパー資産、モノとしての資産等々ありますが、人間にとってもっとの重要な資産は「ご縁」、すなわち「人とのつながり」ではないか、と。JAL株に始まり、長年かけてこのことにようやく気付いたといえます。

 

キックスタートの収支自体は、完全に赤字が出る構造ですが、その赤字とはあくまでもペーパー資産としての意味であって、「ご縁」という資産では、ものすごい黒字を出しつつあるのではないか、ということを感じています。その点でのROI(Return on investment、投資した資本に対して得られた利益)はものすごいのかもしれません。