ナウシカ原作 名場面・名台詞② クシャナ殿下の「速力が武器だ」

 

世界で稚内が一番大好きな大学教員、アーサーこと浅川晃広です! 北海道稚内市で移住希望者向けのシェアハウス「キックスタート!」を経営しています。

 

「風の谷のナウシカ」の原作が大好きで、まだまだ暑い名古屋の「秋の夜長」に思い出して読んでいます。前回のクシャナ殿下のカッコいいセリフに引き続き、まだまだクシャナ殿下に注目したいと思います。それは名台詞のひとつ「速力が武器だ」です。

 

 

【第3巻 110頁及び117頁】

(背景)

土鬼に侵攻したトルメキア軍であったが土鬼軍の反攻に遭い、不利な状況に追い込まれていく。第四皇女クシャナが手塩にかけて育成した軍は土鬼攻撃軍に編入されてしまっていた。クシャナは「辺境諸族を取りまとめ外縁から土鬼を攪乱せよ」という不条理な命令を受けるも、考えるところがあり、それを粛々と実行。

 

土鬼の罠により、コルベット一機のみとなってしまったクシャナ軍であるが、編入されてしまった配下を取りまとめて首都へ舞い戻る作戦を立案。そのために、サパタ城を占領したトルメキア軍が土鬼軍に包囲され、まさしく総攻撃の直前で風前の灯火となっていた配下のところにコルベットで舞い戻る。

 

予想外の殿下の到着に一気に士気が上がる戦士たち。クシャナはこの窮状の打開のために、直ちに奇策に売って出ようとする。それはまずは城の前面に砲を放ち、その煙で城を隠し、その間に城壁をぶち抜いて、騎兵たちが一気に出陣。その機動力を活かして、土鬼の攻撃の主力兵器の攻城砲を壊滅することで、土鬼の攻撃力を激減させ、時間稼ぎをしようとするもの。

 

さすがの策士・参謀クロトワも「城壁をぶち抜いて奇襲しようとはおそれいったぜ」「兵学校の答案なら零点だよ」と感嘆する。「兵学校の答案なら零点」という、既存の価値観やルールに合わない発想、いわば既存の既得権とは一線を画すという発想といえる。

 

 

まさにこの作戦こそが、その「既得権」への挑戦の第一歩だ。クシャナ自身も「よいか、この戦は祖国への旅の第一歩と思え。犬死は無用。蛮勇も許さん」そして「速力が武器だ」として部下を鼓舞する。

(感想)

この「速力が武器だ」がずっと印象に残っているのです。もう少しいうと「時間」の価値の重要性といったところでしょうか。奇襲というのは、敵に気づかれない中でいきなり攻撃することがまさにその本質です。

 

特にこの状況では、強力な攻城砲を有する土鬼軍は、総攻撃すれば、余裕で勝てる、コルベットが一機来たところで無意味だ、しかもそのコルベットも破壊した、とタカをくくっていたわけです。攻撃時刻の予定も変えなかった。

 

ですので、もちろん土鬼の総攻撃前に仕掛けなければならない、ということはありますが、とにかく「すぐにできる最善の策で打って出る」という考え方が、この「速力が武器だ」という表現に集約されているのではないか。

 

チンタラと「兵学校で高い点を取れる作戦」などを立案しているヒマはないところ、「直ちに」作戦を立案し、「直ちに」実行に移すということの重要性。このため、たとえ優れた作戦でも「時間」がかかるのであれば、その価値は大いに減殺されるということかと思われます。クシャナの状況では、それは死滅を意味していました。

 

私の好きなビジネス書の著者は「仕事に対する熱意はスピード以外では表現できない」とも言っています。「スピード」「速度」それは「時間」に対して重い価値を置くという考え方でしょう。締め切りに間に合った60点の内容と、締め切り超過をした100点の内容とでは、当然前者に価値がある。

 

例えばクレーム対応でも、内容はともかくも、とにかく「迅速にやってくれた」という価値は大きい。これはその客の申し立てを重要なものととらえているというメッセージでもある。客としては「自分の申し立てに応じてくれた」という価値が大きい。このことをわからずに、チンタラ対応して、結果として客の不満を増大させるサービス産業も多々ある。

 

すなわち「時間」の価値をどれだけ重くとらえるのかということかと思いますが、まさにこの「速力が武器だ」は、その発想の重要性を端的に示す名セリフというほかありません。私も仕事や、さまざまな場面でクシャナほどとはいきませんが「速力が武器だ」を心がけている次第です。

 

引き合いにだす例として適切かどうか分かりませんが、よく以下のような選択肢が提示されます。

 

①今すぐに10万円もらう

②1年後に11万円もらう

 

よくこれについて、①を選択するのは近視眼的な人間で、1年後にプラス1万となるほうが得だ、だから②になるために貯蓄しよう、資産運用しようと、一種のプロパガンダを展開します(往々にして銀行や証券会社のパペットに多い主張)。

 

しかし、この主張は「1年」の時間の価値が全く分かっていない。10万円を直ちに手に入れれば、何かしらの有意義なものに使うことができる。もしかしたら意中の彼女を高級ホテルのディナー(+その後)に誘うことができるかもしれない。しかし彼女は「1年」も待ってくれないかもしれない(あくまで例えです)。

 

「速力が武器だ」の思想においては、直ちに10万円をゲットして、それを使って、何か別の価値に転換する、いわば投資をしてリターンを出す、ということが重要なのです。なぜ長期の国債の利率が短期よりも高いかというと、それは国側から言うと「長期間使わせてもらえるから」なのです。買う方からいうと、「長期間他のことに使う機会を奪われるから、その見返りも大きい」となるわけです。

 

ということで、引き続きクシャナ殿下の言いつけ通り、何事も「速力が武器だ」で取り組みたいと思います!