不朽の名著! 小倉昌男「経営学」日経BP(1999年)

以前読んだこの本を読み返してみました。宅急便の創始者の著者による、その開発及び経営についてのものです。なお、手元の2010年2月版はなんと30刷です!

 

再読したのは私が個人事業主になったためということもあります。

 

さて、やはりこれは「不朽の名著」であり、企業経営者、個人事業主はもちろん、何らかの形で組織や事業にかかわっている人々が読むべき本といえます。ドラッカーに近いものがありますが、「宅急便の開発」という具体的事例について説明がなされているところが、単なる抽象論とは違って、大いに意味があります。

 

私なりにポイントを挙げてみますと

 

①過去の成功体験はマイナスに働く(環境変化の理解の重要性)

②労使協調の重要性(意外と労組のほうが経営を考えている?)

③KPI設定の重要性(当初宅急便は翌日配達できなかった割合を設定していた)

④最も貴重な資源としての時間(付加価値を生まない分析・計画よりもとりあえず実施。PDCAのPは小さく)

⑤常にサービスの向上・更新を図る(クール宅急便、ゴルフ宅急便は実質新規事業等)

⑥従業員も経営者マインドを持つことの重要性(雇われメンタリティの克服)

⑦企業の社会性(単に利益を上げてそれを株主に配当する機関ではない)

⑧経営上の優先順位の設定(宅急便「サービスが先、利益が後」、何が第一で何が第二なのか、単なる「〇〇第一」は意味がない)

⑨キャッシュフロー(手元現金)の重要性(手形・売掛金の商業貨物から、即現金収入の個人小口便へ)

⑩年功序列賃金体系は維持不可能(組織の層を分厚くしてしまい、意思決定が遅れる、有能な人材が流出してしまう)

 

特に1999年で⑩を指摘していた点は見事です。その20年後の2019年、まさにそれが現実のものとなってきました。賢明な経営者は気づいていただけで、それをどうやって実現していくかという、戦術レベルに入っていったのかもしれません。

 

先日の大阪での企業経営者向けの講演の際も、一部の経営者も「年功序列は持たない、外国人社員へ説明ができない、しかし現在のそれに慣れ親しんだ社員の抵抗が予想される」と言っていました。今の時代の多くの経営者もわかっているのですね。

 

そもそも「雇用」という概念自体も怪しくなっていくのが、この令和の時代かもしれません。自分もやってみて分かるのですが、本当に個人事業、スモールビジネスがやりやすい環境になりました。

 

宅急便と比べるとキックスタート!の規模は比較の対象にすらになりませんが、小倉氏も「企業の社会性」を強調されているように、「地方への移住促進・地域活性化」というミッションはぶれることなく、継続していきたいと考えております。

 

なお、宅急便の開発はプロジェクトXでも番組になっており、キックスタート!にそのDVDを置いています。なお、舞台は北海道です! 礼文島、猿払も登場します!

 

https://www.dailymotion.com/video/x5jynrh